掲示板 熱中症は学問としてはまだまだ若いです。むしろこういう病気があると知らないままに、多くの人が先に熱中症を経験してしまっているかも知れませんね。
だから、一人ひとりの意見がとても大切です。
あなたが実際に体験された熱中症のこと、熱中症を減らす為にはどうすれば良いのか、熱中症の問題は何なのか。とにかく、熱中症について考えたことをなんでも書いて下さい。
拙著「熱中症 息子の死を糧にして」悠飛社についての御意見もお聞かせください。
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□ 日本臨床内科医会会誌平成19年12月号より@
□投稿者:熱中症の会 代表 中村 純友
□投稿日:2008/01/05(Sat) 18:05:01

1.はじめに

人間が生きていくということはその環境から切り離して考えることはできない。地球温暖化に伴い熱中症予防の重要性はますます高まると考えられている。
私は平成15年から、東京、名古屋、大阪、兵庫、京都の大きな会場から地区公民館までさまざまな所で熱中症講演を行ってきた。わずかな経験と勉強での講演会であったが、ここで一度自分自身のために講演会の内容を整理し経験的に感じたことを述べてみたい。

2.熱中症の会について

私は平成13年長男を熱中症で亡くした。私の熱中症の勉強の出発点はこのことから始まった。親であり又医師のはしくれでもある私は熱中症を少しでも減らすにはどうすればいいのかと考え熱中症の会をつくった。会員数は150人で、その活動は年一回、夏休み前に熱中症の注意を先生から生徒に話していただくよう都道府県教育委員会にお願いしている。
前国会議員の中川氏が文部科学省に働きかけて、その結果「熱中症を予防しよう」と「熱中症に注意」というパンフレットが小中高校に配布された。
教室でそのパンフレットをもとにして先生が生徒に熱中症の注意を呼びかけてほしいという要望である。ただし、生徒達がわかりやすい方法でよい。仮に先生が文部科学省の書類を一切みせなくて生徒に話してもよい。とにかく暑さには注意しなければいけないと生徒に感じてもらえばそれで十分である。

□ 日本臨床内科医会会誌平成19年12月号よりA
□投稿者:熱中症の会 代表 中村 純友
□投稿日:2008/01/05(Sat) 18:04:42

3.講演会の構成

熱中症とは暑さの体への刺激に体の機能が正常に反応できない状態である。
講演会は生理学の話が中心になる。
ガイトン生理学など数冊の生理学の教科書、スポーツ活動時の熱中症予防ガイドブック(日本体育協会)などの小冊子から体の自己調節や熱中症の分類などを学び、それを講演会で解説していく。さらに、熱中症の会などで知り得た熱中症体験者の話を取り入れる。
2006年神戸の講演会の内容をつぎに示す。
@ 熱中症の事故(1例目)。
A 熱中症の概念。
B 汗について。
C 体液について。
D 浸透圧について。
E 塩分補給について 。
F 熱中症のメカニズムを説明しながら熱中症の事故(2例目)。
G 熱中症予防ガイドラインの一部のページの説明。
H 暑熱馴化。
I 熱中症の事故(3例目)とその家族の疑問について。
J 熱中症で2つだけ心に留めてほしいこととまとめ。

□ 日本臨床内科医会会誌平成19年12月号よりB
□投稿者:熱中症の会 代表 中村 純友
□投稿日:2008/01/05(Sat) 17:58:08

4.汗

「暑いから薄着にしろ、野外では帽子をかぶれ」「暑いから時間配分を考えて練習しろ。休憩も多くとれ」これらのアドバイスは暑熱環境でよく使われる言葉である。
私は脳、心臓や筋肉の負担をとるより、汗の管理のための言葉と考えている。汗の管理ができたなら重症熱中症の事故は半分以下に減ると考えている。
図は汗について、説明のために私が考えた。(簡略だがだいたいの機構は正しい)。温泉が地下から地表に湧き出ることをイメージしながら汗の説明をする。汗の原液は血液で皮膚表面に出てくる。2つの膜がある。(実際にはない)下の膜は大切な物を通さない膜で、上の膜は塩分などを再吸収する膜である。(この掲示板は図を表示できない。図を言葉で説明すると筒の上下に膜が張ってある蓋なしの丸底フラスコのようなもの)
ここで強調したいのは以下の6点である。
@ 体温を下げるために体は汗を気化する。高体温では汗の量が多くなる。

A 体は塩分を再吸収している。このことを一般の人はあまり知らない。ただし短時間の大量の汗は塩分の再吸収能力の限界を超えており、体は塩分欠乏に陥りやすい。

B 暑さに馴れている人は汗腺の塩分の吸収が良い。つまり薄い塩分濃度の汗となる。また、暑さに馴れだすと無効発汗(体温を下げない非蒸発性の汗)が減る。暑さに馴れるということは塩分と水分の体からの喪失が必要最小限に減っているということであり、水分と塩分が欠乏しにくいということである。

C 汗腺の働きは個人差があり、その働きの弱い人は体温が上昇しやすい。二歳半までによく汗をかいた人は汗腺の働きがよくて体温は当然下がりやすい。あまり汗をかかなかった人は体温が下がりにくい。

D 皮膚表面の水蒸気圧が皮膚周囲の水蒸気圧より低いと、汗は蒸発しないで水となる。湿度の高い日は無効発汗が増え、大量の汗を作り脱水になりやすい。

E 高体温の途中で脱水が起きると、血液循環と体温低下をめぐって水の取り合いが起こり、体は血液の循環を優先して血液から汗を作ることを止める。汗が出なくなると、短時間で体温が急上昇していく。体温が高いのに汗が出ない人は脱水を疑ってみなければいけない。

□ 日本臨床内科医会会誌平成19年12月号よりC
□投稿者:熱中症の会 代表 中村 純友
□投稿日:2008/01/05(Sat) 17:57:44

5.水分補給・塩分補給

のどの渇きは個体維持の本能的働きである。
水分欠乏ではのどが渇き水分を補給して改善される。のどの渇きは細胞外液量減少や血漿浸透圧濃度が上昇した場合に起こる。水分が欠乏したときは、のどの渇きという反応により体は守られる。
塩分欠乏時の対応について生理学の本の記載はあまりない。体は望ましい環境に留まろうとする。たとえば塩分欠乏時には、塩辛いものが美味しく感じられるようである。生体内での積極的な塩分欠乏改善の仕組みは、私の調べた限りでは記載されていない。塩分欠乏になりそうと感じたら、生理食塩水(0.9%)の約1/2〜1/5の濃度の塩分を摂る方が安全である。本能がないから量がある程度曖昧になるのは仕方がない。熱けいれんでは生理食塩水の濃度位の塩分を補給する。塩分欠乏が血液の塩分濃度の異常変化を起こすと体に変化が起こる。
汗をかいていっさい水分をとらないと、血液の塩分濃度は上昇して浸透圧の関係から細胞は水を奪われ縮小傾向となる。また血液は粘調となる。
汗をかいて塩分なしの水を飲むと、血液の塩分濃度は低下して浸透圧の関係で細胞は水を含み膨張傾向となる。そして塩分濃度低下の脱水は高度の低血圧となり失神を起こす。暑熱環境下で一人きりで失神するということは脱水が急速に進行して死にいたる。口渇機構も塩分濃度の低下があると、脱水があっても正常には働かない。
人間は体に対して生きているが、心に対しても生きている。
大量の汗をかいて水分と塩分が欠乏する可能性があるといっても、塩分の積極的な補給に一部の人は不安を感じる。高血圧や胃癌など塩分の害について知っており、急に塩分の補給をしなさいと言われても心がその意見と折り合うのにとまどうのである。
熱中症予防ガイドブック(日本体育協会)には、失った水分と塩分取り戻そう。と記載されてあるが、熱中症予防には「失いつつある」水分と塩分の補給に気をつけようと、まず心に言い聞かせてほしい。

□ 日本臨床内科医会会誌平成19年12月号よりD
□投稿者:熱中症の会 代表 中村 純友
□投稿日:2008/01/05(Sat) 17:57:22

6.熱中症予防を注意するにあたって

 スポーツ指導者が練習前に暑いと感じたので、熱中症予防の話をしたら運動後選手達に「この暑さはたいしたことなかったよ。そんな大げさに注意するま
でもなかったのでは」といわれることはよくあることである。ちょっぴり皮肉をこめて言われてもそれはほめ言葉として受け止めるべきである。予防の情報を与えて熱中症が起こらなかったということが重要だからである。
 注意を与えるときは、つぎの点に注意をする。暑さによる障害の中で夏ばてと重症熱中症は区別して説明する。一般の人にとって前者は当たり前の病気、後者は例外的な病気である。両者を混同して説明すると聞き手は病気に対して実感がもてない。実感をもつと熱中症を理解しやすいが、大多数の人は熱中症の実感をもっておらず、少しでも実感を持ってもらうために整理して話をするのである。
 消防士でも、友人が訓練中に熱中症で倒れたことのある人は、心の内面から照りつける感情を伴った意見を持っているが、熱中症患者を救急車で搬送しているだけの消防士は一般の人と同じような鈍感な考え(暑い所に出るから悪い。たまたま運が悪かった。)しか持っていない。
 10年ほど前に存在していた熱中症研究班組織の主要メンバーであり熱中症の会に入会されている方が話されていた。「私達は熱中症の研究は終えたと思っていた。でもその情報は必要な所に届いていなかった。」22人の熱中症研究班の先生方は全力投球で熱中症を減らすための研究をなさり、予防上の必要な事をまとめ上げた。しかしその貴重な成果は暑熱環境の現場に思ったほど届かなかった。この問題は現在もある。届くようにするのには、暑熱環境では熱中症予防の注意を機会があるごとに与えることが土台となる。それは幼稚な注意であってもよく。毎日毎日同じものでもよい。聞き手の心の中にその注意が健やかに育っていき。暑い環境時に一人きりになった時、自分の頭で熱中症対策を考えられるようになるからである。

□ 日本臨床内科医会会誌平成19年12月号よりE
□投稿者:熱中症の会 代表 中村 純友
□投稿日:2008/01/05(Sat) 17:56:57

7.おわりに

 熱中症は環境、個人の体質、薬の服薬中や不眠などのその時の状態などによりさまざまな形で現れる。
 運動や仕事を続行するか中止か決断できないことも多く、完全無欠な判断はできない。熱中症の事故が起きたとき、結果から見た判断の正しさを求めるよりも、そのおかれた所で素直に熱中症の危険性を考えていたか。ということが重要だと私は思う。
:参考書物:
ガイトン臨床生理学(医学書院)
ギャノング生理学(丸善)
生理学・真島英信(文光堂)
シンプル生理学(南江堂)
標準生理学(医学書院)
体温生理学テキスト(文光堂)
体温のバイオロジー:体温はなぜ37℃なのか(メディカル・サイエンス・インターナショナル)
スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(日本体育協会)

□ お返事ありがとうございました
□投稿者:山尾 由美
□投稿日:2007/12/26(Wed) 11:40:17

指導者へ、水分を摂れるような配慮を求めました。
「自分は飲んではいけない」など言っていない、とのことでしたので、そういう雰囲気ではないこと、全員一斉の休憩でなくて良いので水分を摂らせて欲しいこと、を伝えました。
息子にも水を飲むよう再三言ってはおりますが、本人は以前と変らない体調なのか、のほほんとしています。

『死』」と隣り合せだったのに・・・
学校も教育委員会も何事もなかったかのようです。
おお事にしておけば良かったのか、とも思います。

先生の助言はありがたいです。
お礼が遅くなり、申しわけありません。

□ 山尾さんの投稿文を読んで
□投稿者:熱中症の会 代表 中村 純友
□投稿日:2007/11/30(Fri) 10:01:41

・2007年9月28日の投稿で私は悪いイメージを拡大しており、山尾さんの息子さんが現在柔道をされているのがわかり安心しました。

・国際疾病分類によると熱中症という用語は見直し中であるが、熱中症の内容は光と熱による傷病である。

・運動(ランニング、ラグビー含む)中において負傷事故などを除いた体温上昇による体の調節機能の障害を熱中症と言い、影響の程度で軽症熱中症(処置ですぐ回復)から重症熱中症(活動不能状態)までを私は区別している。

・最近熱中症について毎日放送の記者と話をする機会があり、記者から2007年東京マラソンの優勝候補の一人は、汗の管理に失敗して敗れたという話を聞きました。

・体温調節能力や脱水になりやすさは個人差があるようです。
 山尾さんの息子さんの場合、高温の夏や適応能力の低下しているテスト明けの練習などが私は心配です。

・ラグビーでやかんで水をかけることはそれはそれでよいのですが、水をかけても苦しそうならすぐ救急車を呼ぶべきです。次に何をするべきかの対策を考えなければいけない。

・選手を強くするために厳しい指導はいいのですが、精神的、肉体的についていけない事態の対応とその予防も必要だと私は考えています。
 予防の基本は過度の体温上昇抑制と脱水予防です。

・息子さんを熱中症の危険から守るためには、ごく普通の親ならまず子供に小さな助言を与えます。
 「急な大量の汗は体に危険です。」
 「大量の汗をかくと、運動強度を自分で減らしなさい。」
 「大量の汗なら、汗の組成に近い水分補給をしなさい。」などです。

 指導者に対しては難しい要素があるので、どうしても働きかけたいなら、まず一歩一歩の気持ちで悩みを聞いてもらいに行くのがよいと私は考えています。

□ 熱中症とは?
□投稿者:山尾 由美
□投稿日:2007/11/29(Thu) 09:52:12

つい先日他の保護者から聞いたことですが、私の子どもが熱射病で救急搬送される前日に、他の子どもがランニング中に倒れ水をかけられて回復したそうですが、それも軽い熱中症なのでしょうか?ラグビーなどでもよく『魔法の水』と称してやかんで水をかけて元気になるシーンを見かけますが、それも熱中症ですか?
昔は「水を飲むな!」と言われて飲めなかった人たちが、今、子ども達の指導をしています。自分たちは、なんともなかった・のでそういう指導をしている人もいるはずです。
実績があればなおさら、指導法を変える気持は持っていません。正しい水分の補給方法を勉強して欲しいのです。
現在、息子は以前と変らぬ指導で柔道を始めました。
相変らず、水分を摂れる雰囲気ではないと言います。
まだ、肝機能が回復しておらず、今後が心配です。
以前と変らないと思っている本人と指導者に対しての働きかけをどうしたものか・・・と悩んでいます。

□ マラソン後の熱中症
□投稿者:杉江@マラソン
□投稿日:2007/11/10(Sat) 09:43:14

私は2005/4/17に投稿し中村先生から4/19丁寧な回答をいただきました。
11/4にニューヨークシティマラソンに出場したあとまた意識喪失発作を起こしました。以下はその経緯です。
1.当日は4時30分起床。10時10分スタート、17時15分ゴール
2.18時45分頃、レストランで順番待ちしているときに突然意識がなくなり倒れました。意識はすぐ(30秒後?)戻りましたが、直後は視界が真っ暗でなにも見えませんでした。
3.直前に体が熱くなり気分が悪くなったのでこれはまずい、上着を脱ぎたいと準備し始めた矢先でした。長距離ランニングのあとの体温調節不良現象という自覚はありました。
3.17:15ごろゴール。コース途中では1マイルごとに水分摂取。推定では100〜300ccx23回=3〜4L摂取。小用は5回で
35km以降はほとんど水分を摂りませんでした。
4.多分私は2年半前と同じことを繰り返し、熱中症になったのだろうと思います。原因は低Naにあるのでしょうか
5.前回の発作以来ウルトラマラソンを10回近く走りましたが塩分摂取には気を遣ったおかげでなにも起こりませんでした。
6.今回は42kmと距離は短く、非常にゆっくりしたペースだったので、油断し塩分摂取をしませんでした。
7.前回と同様医療機関での精密検査を受けるつもりです。
万一ほかの原因があって今回の発症かもしれません。
8.反省と自戒の意を込め投稿する次第です

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